断熱材の最新動向とは?

 直接的な回答

断熱材の最新動向は、主に4つの分野に集約されます。

エアロゲルは、柔軟性や機械的耐久性の向上が進み、より過酷な環境への適応が可能になりつつあります。真空断熱パネル(VIP)は、引き続き極めて低い熱伝導率を実現しています。Y-Warmのような軽量かつ柔軟なナノ多孔質断熱材は、断熱材のさらなる薄型化を可能にしています。また、相変化材料(PCM)の活用により、断熱技術は受動的な熱流制御から、能動的な温度調節へとその領域を広げつつあります。

これらの進展が示しているのは、次世代の断熱技術が、もはや単に「可能な限り低い熱伝導率」を追求するだけではなくなっているということです。

現在では、断熱性能、厚さ、重量、柔軟性、耐久性、耐熱性、製造加工性、そして用途ごとに求められる性能を総合的にバランスさせることが、ますます重要になっています。

主なポイント

  • エアロゲルの機械的耐久性は向上しつつあります。      最新の研究では、極限温度や繰り返し変形の環境下でも弾性を維持できるエアロゲルが報告されています。

  • 柔軟なエアロゲル構造の繊維製品への応用が現実味を帯びています。      エアロゲル粒子を連続した糸構造に組み込む技術が開発されています。

  • 真空断熱パネル(VIP)は、依然として極めて高い断熱性能を持つ技術の一つです。 先進的なシステムでは、熱伝導率が約0.004 W/(m·K)以下に達しています。

  • 超薄型柔軟断熱材は、アパレル、フットウェア、アウトドア用品などに新たな可能性をもたらしています。      特に、従来のかさばる断熱材を使用しにくい用途で注目されています。

  • 先進的な断熱材は多機能化しています。      断熱性能だけでなく、柔軟性、湿気管理、機械的耐久性、さらには能動的な温度調節機能まで組み合わせる方向へと進んでいます。

I. なぜ断熱材は変化しているのか?

数十年にわたり、断熱材の開発は主に一つの目的によって推進されてきました。

それは、「熱伝導率を低減すること」です。

これは現在でも極めて重要な目標です。

しかし、現代の用途では、断熱材に対してより複雑で多様な性能が求められるようになっています。

建築物では、利用可能な室内空間を確保しながら、より薄い断熱システムを実現することが求められています。

電気自動車では、バッテリーや車室内の熱管理に適した軽量な断熱材が必要です。

航空宇宙分野では、極端な温度変化の中でも安定した性能を維持できる材料が求められます。

一方、アパレルやフットウェアでは、保温性だけでなく、薄さ、軽さ、柔軟性、通気性、耐久性などを兼ね備えた断熱材が必要とされています。

その結果、材料科学における問いも変化しつつあります。

従来の問いは、

「どうすれば熱伝導率を低減できるか?」

というものでした。

しかし現在では、

「低い熱伝導率と、用途ごとに求められる機械的機能的特性を、どのように両立させるか?」

という問いへと変わりつつあります。

この転換こそが、現代の断熱技術における重要な進歩を牽引しています。

II. 断熱材における4つの主要な進展

1. エアロゲルの柔軟性と機械的耐久性が向上している

エアロゲルは、極めて高い気孔率と非常に低い熱伝導率を持つことから、長年にわたり、優れた断熱性能を持つ固体材料の一つとして注目されてきました。

しかし、従来のエアロゲルには大きな弱点があります。

それが機械的な脆さです。

従来のシリカエアロゲルは、曲げ、圧縮、振動、あるいは繰り返しの機械的応力を受けると、ひび割れや破損、粉化などが生じることがあります。

そのため、柔軟性や長期的な機械耐久性が求められる用途への展開には制約がありました。

近年では、この課題を克服するために、さまざまな技術が研究されています。

  • 繊維による補強

  • 柔軟なポリマーネットワーク

  • セラミックナノファイバー構造

  • 異方性構造設計

  • エアロゲル繊維エアロゲル糸

  • マルチスケール複合構造

その代表例の一つが、2025年にScience誌で報告された研究です。

研究チームは、4.2 Kから2,273 Kという極めて広い温度範囲にわたり弾性を維持できる、194種類のドーム型セル構造を持つ超軽量エアロゲルを開発しました。

これらのエアロゲルは、99%のひずみ条件下で最大20,000回の圧縮サイクルに耐え、さらに2,273 K100回の熱衝撃サイクルにも耐えたと報告されています。[1]

これは、エアロゲル研究における重要な方向転換を示しています。

研究開発の目標は、単なる

「超低熱伝導率」

から、

「超低熱伝導率 + 機械的耐久性 + 極限温度下での安定性」

へと広がりつつあります。

2. エアロゲルは繊維構造へと進化しつつある

もう一つの重要な進展は、エアロゲルが、壊れやすいバルク材料から、繊維製品に組み込むことのできる柔軟な構造体へと進化しつつあることです。

2025年にAdvanced Materials誌に掲載された研究では、エアロゲル粒子を連続した糸状構造へと加工するロールトゥロール撚糸技術が報告されました。

得られた糸には、約78 vol%のエアロゲル粒子が含まれており、ナノファイバー骨格が機械的な支持構造として機能するとともに、多孔質構造の維持にも寄与しています。[2]

このエアロゲル糸は、柔軟性、機械的強度、断熱性能を兼ね備えています。

さらに、エアロゲルを用いた繊維構造は、-196°Cから100°Cの温度範囲に加え、機械的変形や洗濯後においても安定性を維持したと報告されています。[2]

この技術は、ウェアラブル断熱材の発展において特に重要です。

従来のエアロゲルは優れた断熱性能を持つ一方、その脆さや加工性の低さから、繊維製品への直接的な応用には課題がありました。

エアロゲルを連続繊維や糸、あるいは補強された柔軟な複合材料へと変換することができれば、今後、以下のような用途への展開が期待されます。

  • 熱防護服

  • アウトドアウェア

  • 手袋

  • フットウェア

  • ウェアラブル熱管理システム

3. 真空断熱パネル(VIP)は極めて低い熱伝導率を実現している

真空断熱パネル(VIP)は、多孔質材料とは異なるアプローチによって高い断熱性能を実現する技術です。

VIPでは、多孔質コア内部の気体を大幅に除去し、低圧状態を形成します。

これにより気相による熱伝導が大幅に抑制され、極めて低い熱伝導率を実現できます。

米国エネルギー省の報告によると、真空断熱パネルでは、

≤0.004 W/(m·K)

という熱伝導率が報告されています。

一方、従来の繊維系発泡系建築断熱材では、約0.024 W/(m·K)以上とされています。[3]

そのため、限られた厚さで高い断熱性能を実現する必要がある用途において、VIPは大きなメリットを持ちます。

主な用途としては、以下が挙げられます。

  • 高性能建築物

  • 冷蔵庫冷凍庫

  • コールドチェーン用コンテナ

  • 温度管理型物流

  • 特殊産業機器

ただし、VIPには根本的な制約があります。

VIPは、内部の低圧状態を維持するために、気密性の高いバリア材で密封されています。

このバリアフィルムに穴が開いたり、切れたり、シール部が損傷したりすると、気体がパネル内部に侵入し、熱伝導率が大幅に上昇する可能性があります。

米国エネルギー省の研究では、バリアフィルムが穿孔された場合、熱伝導率が約**0.02 W/(m·K)**まで上昇する可能性が示されています。[3]

したがって、VIPにおける重要な技術課題は、単に熱伝導率をさらに低減することではありません。

より重要なのは、

「製品の耐用期間を通じて、極めて低い熱伝導率を維持すること」

です。

4. ウェアラブル用途向けの超薄型柔軟断熱材が登場している

すべての用途で、絶対的に最も低い熱伝導率が必要とされるわけではありません。

衣類、フットウェア、手袋、アウトドア用品などの柔軟な製品では、断熱材に対してまったく異なる性能バランスが求められます。

例えば、

薄さ + 軽さ + 柔軟性 + 通気性 + 耐久性 + 加工性

といった特性です。

こうしたニーズを背景に、柔軟なナノ多孔質断熱材という新たなカテゴリーの材料開発が進んでいます。

その一例が「Y-Warm」です。

Y-Warmは、主に常温域から低温域での用途を想定して設計された、ナノ多孔質構造を持つ柔軟な断熱材です。

高い気孔率を持つ構造によって熱伝達を抑制しながら、衣類やフットウェアなどに求められる柔軟性を維持することを目的としています。

Y-Warmは約0.7 mmの厚さで製造できるため、厚くかさばる充填材だけに依存することなく、製品に断熱機能を付与することが可能です。

想定される使用温度範囲は約**-50°C150°C**です。*

従来の脆いエアロゲル材料とは異なり、この種の柔軟断熱材は、裁断、縫製、曲げ加工などに対応し、繊維製品へ組み込めるよう設計されています。

これは、高温用セラミックエアロゲルや真空断熱パネルとは異なる技術的アプローチです。

柔軟なナノ多孔質断熱材が目指しているのは、あらゆる性能を犠牲にして熱伝導率だけを極限まで下げることではありません。

重要なのは、

断熱性 + 薄さ + 柔軟性 + 着用快適性 + 加工性

のバランスです。

*Y-Warm固有の性能値については、対応する技術データシート、試験報告書、または第三者試験機関による報告書と併せて確認する必要があります。

III. これらの進歩を支える物理的原理とは?

これらの断熱材がどのように機能するのかを理解するには、熱伝達の3つの基本形態、

伝導対流放射

に立ち返る必要があります。

断熱材の本質的な役割は、これらの経路の一つ、あるいは複数を通じて生じる熱伝達を抑制することです。

1. 熱伝導

熱伝導とは、物質内部を通じて熱エネルギーが移動する現象です。

多孔質断熱材では、主に2つの経路を通じて熱が伝わります。

一つは、材料の骨格を通じた固相伝導

もう一つは、細孔内部の気体を通じた気相伝導です。

固相伝導を低減するには、連続した固体の熱伝達経路を抑え、フォノンなどの熱輸送を散乱させる界面を増やすことが重要です。

一方、気相伝導を低減するためには、細孔内部に存在する気体分子の移動や衝突を制御する必要があります。

ここで重要になるのが、ナノスケールの細孔構造です。

2. クヌッセン効果

室温大気圧下における静止空気の熱伝導率は、およそ

0.026 W/(m·K)

です。

そのため、空気を動かない状態で閉じ込めるだけでも、一定の断熱効果を得ることができます。

しかし、細孔径が気体分子の平均自由行程と同程度、あるいはそれ以下になると、気体の熱輸送挙動に変化が生じます。

気体分子同士の衝突よりも、気体分子と細孔壁との衝突の影響が相対的に大きくなるためです。

この現象はクヌッセン効果と関連しています。

細孔径がこの領域まで小さくなると、気相による熱伝導が抑制されます。

これは、ナノ多孔質材料が極めて低い有効熱伝導率を実現できる重要な物理メカニズムの一つです。

この原理は、特に以下のような技術において重要です。

  • エアロゲル

  • ナノ多孔質断熱材

  • 微細多孔質断熱材

  • 真空断熱材のコア材

3. 熱対流

対流とは、流体の巨視的な移動によって熱が運ばれる現象です。

大きな空気層では、温度差によって空気が循環し、高温側から低温側へ熱を運ぶことがあります。

しかし、細孔が十分に小さくなると、このような大規模な気体の循環は起こりにくくなります。

さらに、気体が非常に小さな細孔や独立した細孔内に閉じ込められている場合、対流による熱伝達は大幅に抑制されます。

これが、多孔質構造が多くの断熱材に採用されている理由の一つです。

4. 熱放射

熱放射とは、主に赤外線などの電磁波を介してエネルギーが伝達される現象です。

常温付近では、多くの断熱システムにおいて固相伝導や気相伝導が重要な役割を果たします。

しかし、温度が高くなるにつれて、放射による熱伝達の寄与が大きくなります。

そのため、高温用断熱材では、

  • 赤外線反射成分

  • 放射散乱粒子

  • 不透明化剤(オパシファイア)

  • 多層構造

などを利用して、放射熱伝達を抑制する場合があります。

放射制御は、工業炉、航空宇宙システム、高温配管、極限環境向け熱防護システムなどにおいて特に重要です。

IV. 最新の研究結果は何を示しているのか?

近年の研究から明らかになっているのは、断熱技術が単一の「最良の材料」へと収束しているのではなく、用途に応じて複数の異なる方向へ進化しているということです。

1. 極限温度環境向けエアロゲル

2025年にScience誌で発表された研究では、4.2 Kから2,273 Kという極めて広い温度範囲で超弾性を維持できるドーム型セル構造のエアロゲルが報告されました。

この材料は、99%のひずみ条件下で20,000回の圧縮サイクルに耐え、さらに2,273 K100回の熱衝撃サイクルにも耐えたとされています。[1]

同研究で報告された高エントロピー炭化物エアロゲルの熱伝導率は、

  • 1,273 K53.4 mW/(m·K)

  • 2,273 K171.1 mW/(m·K)

でした。[1]

これらの結果は、従来の断熱材では構造的安定性を維持することが難しい極限環境に向けて、エアロゲル技術が進化していることを示しています。

2. 柔軟なエアロゲル糸

2025年にAdvanced Materials誌に掲載された研究では、連続した糸構造に約78 vol%のエアロゲル粒子を組み込むロールトゥロール技術が報告されました。[2]

得られた糸は、高いエアロゲル含有率と柔軟性、機械的安定性を兼ね備えています。

また、この繊維構造は、-196°Cから100°Cの温度範囲に加え、機械的変形や洗濯後においても安定性を維持したと報告されています。[2]

この研究は、断熱材料工学と繊維工学の融合が進んでいることを示す代表的な例です。

3. 異方性セラミックファイバーエアロゲル

2025年にAdvanced Science誌に掲載された研究では、高度に配向したSiC@SiOセラミックファイバーエアロゲルが開発されました。

この材料の横方向の熱伝導率は、

0.018 W/(m·K)

と極めて低い値を示す一方、軸方向の熱伝導率は約

0.0914 W/(m·K)

でした。

その結果、異方性係数は約5.08に達しています。[4]

さらに、この材料は約1,300°Cまでの酸化雰囲気下でも構造的安定性を維持したと報告されています。[4]

これは、先進的な断熱材料の設計において、

「どれだけ熱を通しにくくするか」だけでなく、「どの方向に熱を伝えやすく、あるいは伝えにくくするか」

まで制御できる可能性を示しています。

4. 真空断熱パネル(VIP

VIPは、実用的な断熱システムの中でも、極めて低い熱伝導率を実現できる技術の一つです。

米国エネルギー省の研究では、

≤0.004 W/(m·K)

という熱伝導率が報告されています。[3]

ただし、この性能は内部の低圧状態を維持できるかどうかに大きく左右されます。

バリア材が損傷すると、熱伝導率が約**0.02 W/(m·K)**まで上昇する可能性があります。[3]

そのため、バリア材の耐久性、エッジシール技術、長期的な真空保持性能は、VIPの今後の開発における重要なテーマです。

V. 主要な断熱技術の比較

技術

代表的な熱伝導率

主な利点

主な制約

主な用途

グラスウール/ロックウール

0.0350.050   W/(m·K)

低コストで成熟した技術

比較的大きな厚さが必要

建築/産業

ポリウレタンフォーム

0.0200.030   W/(m·K)

軽量で高い断熱性

防火性能や経年劣化への配慮が必要

建築/家電

シリカエアロゲル

多くの場合0.025 W/(m·K)未満

極めて低い熱伝導率

従来型は脆い場合がある

産業/建築/特殊断熱

セラミックファイバーエアロゲル

最新研究では0.018 W/(m·K)まで低下

高温安定性

高度な製造技術が必要

航空宇宙/高温産業

真空断熱パネル(VIP

先進システムでは≤0.004 W/(m·K)

極めて高い断熱性能

バリア材の損傷に敏感

建築/家電/コールドチェーン

柔軟なナノ多孔質断熱材

製品用途によって異なる

薄型軽量柔軟

極限高温用途向けではない

アパレル/フットウェア/アウトドア/民生用途

この比較から分かるように、熱伝導率だけで「最良の断熱材」を決めることはできません。

例えば、VIPは柔軟な繊維系断熱材よりもはるかに低い熱伝導率を実現できますが、通常、繊維材料のように曲げたり、裁断したり、縫製したり、繰り返し折り曲げたりする用途には適していません。

一方、セラミックエアロゲルは1,000°Cを超える高温に耐えられる場合がありますが、それだけで衣類に適しているとは言えません。

したがって、断熱材の性能は、実際に使用される環境と用途の中で比較する必要があります。

VI. 将来に向けた2つの大きな方向性

1. マルチスケール複合構造

断熱材の開発は、単一材料だけで性能を追求する方向から、複数の構造や機能を組み合わせる方向へと進んでいます。

例えば、

支持骨格 + ナノ多孔質構造 + 補強材 + 放射制御成分

といった設計です。

繊維が機械的強度を担い、ナノ多孔質領域が気相による熱伝導を抑制するといったように、それぞれの構造に異なる役割を持たせることができます。

これにより、従来は両立が難しかった複数の性能を同時に最適化できる可能性があります。

目標はもはや、単に

「熱伝導率を低減すること」

ではありません。

「機械的性能を犠牲にすることなく、熱伝導率を低減すること」

へと変わりつつあります。

2. 受動的な断熱から能動的な熱調節へ

従来の断熱材は基本的に受動的な材料です。

熱の移動を遅らせることはできますが、熱エネルギーそのものを積極的に蓄えたり放出したりするわけではありません。

これに対して、相変化材料(PCM)は異なるアプローチを提供します。

相変化材料は、相転移温度付近で潜熱を吸収または放出することができます。

これを断熱構造に組み込むことで、短時間の温度変動を緩和できる可能性があります。

この違いは重要です。

断熱材は、熱伝達の速度を低減します。

一方、

相変化材料は、一時的に熱エネルギーを吸収放出します。

両者を組み合わせることで、将来的には受動的な断熱性能と能動的な熱バッファリング機能を兼ね備えた材料の開発が期待されます。

 

VII. 先進的な断熱材はどこで使われているのか?

建築

エアロゲル複合材、ポリウレタンフォーム、ミネラルウール、真空断熱パネルなどは、断熱材の厚さを抑えながら建物外皮の断熱性能を向上させるために活用されています。

これは、高性能建築物やニアゼロエネルギー建築において特に重要です。

電気自動車エネルギー貯蔵

バッテリーシステムでは、熱障壁としての断熱材の重要性が高まっています。

断熱材は、セル間の熱伝達を抑え、バッテリーパック内部における熱の伝播を遅らせる役割を果たします。

航空宇宙

セラミック系炭素系エアロゲルなどの極限温度対応材料は、空力加熱、熱衝撃、大きな温度勾配などを伴う環境への応用が研究されています。

アパレルフットウェア

柔軟な断熱材には、高温産業用断熱材とは異なる性能バランスが求められます。

断熱性能に加えて、

  • 軽量性

  • 薄さ

  • 柔軟性

  • 透湿性

  • 耐久性

  • 裁断縫製などの加工性

が重要になります。

これは、Y-Warmのような超薄型柔軟断熱材が、従来のエアロゲルやかさばる繊維系断熱材とは異なる技術的アプローチを示している分野の一つです。

コールドチェーン家電

真空断熱パネルなどの高性能断熱材を利用することで、熱伝達を抑えながら断熱壁を薄くすることが可能になります。

これにより、冷蔵庫、冷凍庫、温度管理コンテナなどでは、断熱性能を維持しながら有効内部容積を拡大できる可能性があります。

産業用高温断熱

エアロゲルブランケット、セラミックファイバー材料、高温用多孔質断熱材などは、炉、配管、産業設備など、熱的安定性が重視される環境で利用されています。

VIII. 断熱技術はどこへ向かっているのか?

断熱技術の進化は、大きく3つの段階に整理することができます。

1段階:厚さを増やす

従来の断熱材では、繊維状材料や発泡材料を厚くすることで多くの静止空気を保持し、熱の移動を抑える方法が広く用いられてきました。

2段階:細孔構造を制御する

先進的な多孔質材料では、細孔径、気孔率、固相熱伝導経路、気相熱伝導などを設計することで、熱伝達をより精密に制御します。

3段階:複数の性能を同時に最適化する

最新世代の断熱材では、

高い断熱性能 + 薄型化 + 軽量化 + 柔軟性 + 耐久性 + 環境安定性 + 製造加工性

を同時に実現することが目標となりつつあります。

これは、現在の断熱材料技術における最も重要な変化の一つです。

業界の問いは、

「どの材料の熱伝導率が最も低いのか?」

から、

「特定の用途に対して、どの材料が最も適切な熱管理ソリューションを提供できるのか?」

へと変わりつつあります。

IX. よくある質問

Q1:断熱材の最新トレンドは何ですか?

主なトレンドは、高性能多機能な断熱材への移行です。

現在の研究開発では、熱伝導率だけでなく、柔軟性、薄型化、機械的耐久性、高温安定性、さらには能動的な温度調節機能まで、複数の性能を組み合わせる方向へと進んでいます。

Q2:なぜナノ多孔質材料は優れた断熱性能を発揮できるのですか?

ナノ多孔質構造は、複数の熱伝達経路を同時に抑制できるためです。

非常に小さな細孔は対流を抑制し、細孔径が気体分子の平均自由行程に近づくと、クヌッセン効果によって気相熱伝導を低減できる場合があります。

さらに、高い気孔率によって連続した固相の熱伝達経路を減らすこともできます。

Q3:エアロゲルは依然として最も先進的な断熱材ですか?

エアロゲルは、高い気孔率と低い熱伝導率を持つことから、現在でも重要な先進断熱材料の一つです。

ただし、あらゆる用途に対して最適な「唯一の断熱材」が存在するわけではありません。

極めて低い熱伝導率が重視される用途ではエアロゲルが有力ですが、機械特性、使用温度、コスト、加工性などの条件によっては、VIP、柔軟なナノ多孔質材料、ポリマーフォーム、セラミック系断熱材、相変化複合材料などが適している場合があります。

Q4:なぜ真空断熱パネル(VIP)はあらゆる場所で使用されていないのですか?

VIPは極めて低い熱伝導率を実現できますが、その性能は内部の低圧状態を維持できるかどうかに大きく依存します。

バリア層が損傷すると、断熱性能が大幅に低下する可能性があります。

そのため、パネルを十分に保護できる用途には適していますが、頻繁な裁断、曲げ、縫製、繰り返し変形などが必要な製品には適していません。

Q5:超薄型断熱材は衣類に使用できますか?

はい。

ウェアラブル用途では、必ずしも「最も低い熱伝導率」だけが求められるわけではありません。

重要なのは、断熱性能、厚さ、重量、柔軟性、通気性、耐久性、加工性を適切にバランスさせることです。

こうした要件に対応するため、柔軟なナノ多孔質断熱材の開発が進められています。

例えばY-Warmは、約0.7 mmの厚さで製造可能で、アパレル、フットウェア、アウトドア用品など、柔軟性が求められる用途向けに設計されています。*

Q6:熱伝導率は低ければ低いほど優れているのでしょうか?

必ずしもそうとは限りません。

熱伝導率が低いということは、特定の試験条件下で、その材料が伝導による熱移動をより効果的に抑制できることを意味します。

しかし、実際の材料選定では、以下の要素も考慮する必要があります。

  • 必要な厚さ

  • 重量

  • 使用温度

  • 機械的強度

  • 柔軟性

  • 湿気に対する特性

  • 防火難燃性能

  • 耐老化性

  • 製造加工性

  • コスト

したがって、最適な断熱材とは、必ずしも熱伝導率が最も低い材料ではありません。

重要なのは、その用途に対して最も適切な特性の組み合わせを提供できる材料であることです。

 

参考文献

[1] Pang, K., Xia, Y., Liu, X., et al. “Dome-celled aerogels with ultrahigh-temperature superelasticity over 2273 K.” Science, 389(6757), 290–294, 2025. DOI: 10.1126/science.adw5777.

[2] Zheng, J., Li, Z., Wei, N., et al. “Roll-To-Roll Twisted Aerogel Yarns with Reinforced Structure and Low Thermal Conductivity.” Advanced Materials, 2025. DOI: 10.1002/adma.202507289.

[3] U.S. Department of Energy / Oak Ridge National Laboratory. “Self-Healing Films to Improve Durability of VIPs by In-Situ Remediation of Film Defects.” 真空断熱パネル(VIP)の熱伝導率≤0.004 W/(m·K)、およびバリアフィルム穿孔後の性能変化について報告。

[4] Zhang, Z., Liu, C., Li, N., et al. “Highly Oriented SiC@SiO Ceramic Fiber Aerogels with Good Anisotropy of the Thermal Conductivity and High-Temperature Resistance. Advanced Science, 12(17), 2416740, 2025. DOI: 10.1002/advs.202416740.

 

 


サンプル申請

プライバシーポリシー

Copyright © 2021-2026 Y-Warm